9月17日に「My Nikifor」という映画を見に行きました。
ニキフォルというポーランドの画家についての映画です。
ハマ−スミスのある映画館一館のみで、しかも、この日一日だけ(しかも6時半から二回回すのみ、という超限定公開です。
たまたま、夫がタイムアウトで見つけたのですが、評価はそこそこでそれほど高くはなかったものの、レアということで載ったのかもと思わせる選択。
何故、ハマ−スミスかというと、多分、ポーリッシュ・コミニュティがあるからでは?という推測でした。ポーランド映画だから。
私たちの後ろに座ったお客さん二人組はまさにポーランド人。
ですが、ポーランド人で満杯と言うわけではなく、私と夫と義母と息子を入れても、全部で10人そこそこの人数でした。
何故、私たち総出で出かけて来たのかと言うと、実はうちにそのニキフォルの絵がいくつかあるからです。
夫の母方の祖父母が絵や本を集めていて、その中から譲ってもらったものでした。
私も夫もその絵が好きで、大きさが小さめなので以前は階段部分に飾っていましたが、模様替えをしたときに、まとめて居間に飾ったばかりでした。
夫の祖父母の集める絵は個人的な関わり合いがあった画家の物であることがほとんどなのですが、ニキフォルに関してはそういうことはなかったらしいので、何故その絵があるのか、詳しい経緯も、そしてニキフォル自身に関してもいわゆるナイ−ブ派とかアウトサイダーに分類される絵、というくらいの情報しかありませんでした。
なので、この映画をタイムアウトで見つけたとき、例え評価は高くなくとも、我が家は見るべき!と思い、義母にも連絡してみんなで出かけることにした、というわけです。
上映館は、壁の角の方とが壊れていたりして、かなんだかぼろぼろで寂れ感が漂っていました。
そして、女子トイレには個室のドアに有名女優の名前が書いてありました。
マリリン・モンロー以外は、シャロン・ストーン、デミ・ムーア、ウーピー・ゴールドバーグ、エマ・トンプソンと、80年代テイストでした。
少ない観客で映画は始まりましたが、タイムアウトの星から想像していたよりはずっとよかったです。
というか、ニキフォル(男性)を演じる女優さんの演技力に圧倒されました。
途中で、あれ?これ本人を撮ったドキュメンタリーだっけ?と思わせる自然体の演技。
2004年製作でニキフォルは1968年に死亡しているので、そんなはすはないのですが。
でも、本当に小柄なおじいさんに見えました。
だから、本人でないことと、しかも女優さんが演じたことで、ダブルでびっくりです。
ニキフォルは言語障害があり読み書きもできなかったということで、観光客に自分の書いた絵を売って小銭を稼いでいます。
フォークアートは社会主義的にいいと認められた時期があったらしく、彼の絵が有名になり、大きな町で展覧会も開かれたのに、その建物の前で観光客に絵を売り付けようとしたりします。(しかも小銭で)
彼の絵は常に観光客に売り付けることを前提に書かれ、一日3枚というペースで量産されます。
生涯に4〜5万点は絵を描いたということです。
もう、絵を書くことが人生そのもの。
ただ、淡々と描く。
好きとか、絵を描きたいとかではなく、これがあたりまえの生活、という感じです。
圧倒されます。
そして、認められるのは、死の少し前で、その生涯はほとんど孤独で貧困の中だったと思われます。
映画のあとに、上映館の近くで食事したときに義母が
「どういう経緯であの絵がうちに来たのか思い出したわ。」 と言い出しました。
当時、多分彼の展覧会が開かれた時期、ロンドンのポーランド大使館でも、ニキフォルの展覧会が開かれたらしいのですが、そのとき、ポーランド大使館から誰かが彼の絵を持って来て、夫の祖父母の家に置いて行ったということでした。
「売ったんじゃなくて?」
「置いていったのよ。ポーランドに送り返す費用をかけたくなかったのかしらね」
(これは義母の推測です)
なんつー、てきとうな。
「で、なんで置いてく相手にレギーとチャールズ(夫の祖父母)を選んだの??」
「さあ?」
夫の祖母であるレギーはポーランドからロンドンに逃れて来たユダヤ人ですが、ポーランド人としてポーランドにに住んでいたことくらいしかポーランド大使館との関連は見えません。
こんなことなら夫の祖母の存命中にもっとしつこく聞いておけばよかったです。
夫の祖母は一昨年の11月に90歳で亡くなっています。
一緒にこの映画を見られれば面白かったのに。
しかし、「置いてった」って、すごすぎです。
彼の絵の前に小銭を供えないと申し訳ない気持ちがして来ました。
家に帰って「ニキフォル」でいろいろ検索したら、日本では昨年の11月に「ニキフォル 知られざる天才画家の生涯」というタイトルで、上映されていました。
そのタイトルを見るとうっすらと日本の雑誌に載った記事を思い出しましたが、私は「ニキフォル」ではなく「ニキフォー」だと思っていたので、うちにある絵の画家のこととは全く考え付きませんでした。
動員人数はどれほど多くはなかったものの、観た人のコメントを見ると、強い感銘を受けたようでした。
DVDは出ているかと検索したら、11月にこれから出るところでした。
買うしかないでしょう。 |